レッスン7:複数量子ビットとテンソル積

2 qubit 以上の書き方と、ゲートを同時にかけるテンソル積の感覚を身につける

複数量子ビットとテンソル積

ここまでは 1 つの Qubit を扱ってきました。本物の量子コンピュータは、何千もの Qubit を一斉に扱います。 そのために必要な「複数の Qubit の書き方」と、ゲートを同時にかける「テンソル積」のイメージを身につけましょう。

複数量子ビットの表記

1 Qubit の状態は |0⟩|1⟩ で書きました。2 Qubit なら、左が qubit0、右が qubit1 として 4 種類あります。

表記 qubit0 qubit1 インデックス
|00⟩ 0 0 0
|01⟩ 0 1 1
|10⟩ 1 0 2
|11⟩ 1 1 3

|10⟩ は「qubit0 が 1、qubit1 が 0」の意味です。このキットでは 左が qubit0(最上位)という約束でしたね。

テンソル積:ゲートをまとめてかける感覚

2 つの Qubit にそれぞれ別のゲートを同時にかける操作をテンソル積 \(\otimes\) といいます。 記号だけ見ると難しそうですが、意味はシンプルです。

H ⊗ H(2量子ビットに同時に H)2 枚のコインを同時に回す

1 枚だけ回すの(H ⊗ I)との違いを、状態ベクトルで観察してみましょう。

Tip

見てみよう - H ⊗ I では qubit0 だけが重ね合わせ → 出るのは 0010 だけ。 - H ⊗ H では 4 通りすべてを約 25% ずつで観察できます。 - 「両方同時に回す」ことで、4 つの可能性を同時に並べられる。これが量子の並列性の土台です。

3 Qubit 以上に広げる

同じ規則で 3 Qubit は |000⟩…|111⟩8 通り、n Qubit なら \(2^n\) 通りになります。

Qubit 数を 1 増やすと、可能性の数は 2 倍。これが「指数関数的に広がる状態空間」です。 例えば 30 Qubit なら \(2^{30} \approx 10\) 億通りの状態を同時に扱えます。

Note

\(2^n\) 通りの波形が並ぶ感覚をつかんでください。n を増やすと棒がどんどん増えていくのが見えます。 (※こうした状態は「巨大な波の重ね合わせ」で、全 Qubit が 0 でも 1 でも「同時」に存在しています。)

まとめ

  • 複数 Qubit は |q0 q1 q2…⟩ と、\(2^n\) 通りのビット列で表す。
  • テンソル積 ⊗ は「ゲートをまとめてかける」こと。H ⊗ H で全部を同時に重ね合わせられる。
  • n Qubit で可能性は \(2^n\) 倍に広がる。ここが量子計算のパワーの源泉。

次は、さらに多種の 量子ゲート を導入します。