レッスン5:測定と確率

量子計算の答えは確率的。測定回数(shots)を増やすと分布がどう収束するかを体験する

測定と確率

量子コンピュータは「重ね合わせの状態」のままでは答えを読み出せません。 測定 をすると、状態が確率に従って どれかのビット列に崩壊(コラプス) します。

そのため、量子計算では 同じ回路を何度も実行(shots) して、 結果の分布(ヒストグラム)から答えを推定するのが基本です。

測定の仕組み

  • 測定結果は決定的ではなく、確率 で決まる。
  • 何度も繰り返すと、確率分布どおりの割合に収束していく。
  • 測定した瞬間、重ね合わせは壊れてしまい、同じ計算をやり直す必要がある。

回数を増やして「収束」を観察しよう

50%:50% のコイン(H を 1 回かけた Qubit)を、測定回数を変えながら何度も測定してみます。 測定回数が少ないうちはバラバラ増えるほどきれいに半々に近づくのが見えるはずです。

Tip

見てみよう - 10回 くらいだと、0 が 40% とか 60% とか、かなり偏ります。 - 8192回 にすると、ほとんど 50% にピッタリ近づきます。 - これが「大数の法則」と、量子測定の確率的な性質です。

確率はどう計算される?

状態 \(|\psi\rangle = \alpha|0\rangle + \beta|1\rangle\) のとき、測定で 0 が出る確率は

\[P(0) = |\alpha|^2, \qquad P(1) = |\beta|^2\]

つまり 振幅(amplitude)の2乗 が確率です。合計は必ず 1 になります:

\[|\alpha|^2 + |\beta|^2 = 1\]

実は「理想と現実」

上のシミュレーションは理想的な状態です。実際の量子コンピュータには

  • デコヒーレンス(環境との相互作用で情報が失われる)
  • ゲート誤差(理想的な操作とズレる)
  • 測定ノイズ(統計的ゆらぎ)

があります。だからこそ 多回数測定で平均化 し、量子誤り訂正 の研究が行われています。

まとめ

  • 測定は 確率 で決まり、重ね合わせが崩壊する。
  • 同じ回路を 多数回(shots) 実行して分布を見るのが基本。
  • 確率は 振幅の2乗 |α|² で計算される。
  • 実際のハードウェアには誤差があるため、多回数測定と誤り対策が必須。

最後のレッスンでは、これまでの知識を使って代表的な 量子アルゴリズム に挑戦します。