2. AGENTS.md — AI に「失敗しない」使い方を伝える
データ出版者が AI エージェントに向けて書く AGENTS.md の書き方と、その効果を学びます。
AGENTS.md とは
AGENTS.md は、AI エージェントがデータを正しく使うための「取扱説明書」です。GIS 専門家の知見を、エージェントが参照できる形で書き残します。
エージェントは「説明書がなければ試行錯誤を繰り返す」。加えて API ドキュメントや独自仕様を毎回解釈するのは非効率です。先行して AGENTS.md を読ませることで、最初から正しいパスでクエリを発行できます。
何を書くのか
Portolan の AGENTS.md は、次の 5 項目を必ず含めると破綻が少ないです。
- データの概要 — このコレクションに何が含まれるか
- クエリの推奨パターン — 速い・確実なアクセス方法
- 座標系(EPSG) — 変換が必要か、どの EPSG を使うか
- 既知の制限 — 欠損・更新頻度・使えないフィールド
- ライセンス条件 — 出典表示の要否・商業利用の可否
書く内容の例
# このコレクションの使い方
## 概要
全国の公園のポイントデータ(ID・名称・緯度経度・面積)。
## 推奨クエリパターン
- 空間フィルタは lead_status カラムに index を使うと高速
- 緯度経度は経度(lng)、緯度(lat) の順で格納されている
## 座標系
- 座標系は EPSG:3857 なので、利用時は EPSG:4326 に変換
- 変換例: ST_Transform(geom, 4326)
## 既知の制限
- データの一部に欠損がある(update 頻度は 月次)
- 一部のレコードは名称なし(約 2%)
## ライセンス
- CC BY 4.0 — 出典明記が必要
なぜ効果的なのか
エージェントは失敗した後に試行錯誤するよりも、あらかじめ正しい手順を読んでから実行するほうが速く・安定します。さらに、AGENTS.md があれば、エージェントが勝手に推測して重大な誤り(例: 座標系を無視して測量)を犯す確率を下げられます。
書き方のコツ
1. 短く、具体的に
「EPSG:4326 に変換してから使うこと」のように命令形で書くとエージェントが従いやすいです。抽象的な説明より、具体例を 1 つ入れるほうが効果的です。
2. テスト済みのクエリを載せる
自分で一度実行して成功したクエリパターンを載せます。エージェントはそれをそのまま使いやすくなります。
| パターン | 効果 |
|---|---|
| 空間フィルタを使う | GeoParquet では INDEX 必須 |
| 必要な列だけ指定 | 転送量を削減 |
| 座標系を明示 | 変換ミスを防止 |
3. 「使ってはいけない」も書く
可能なこと・不可能なことを明示すると、エージェントが無駄な試行をしません。
- item 検索(個別フィーチャ単位)は未対応
- フィールド: shape_area は geodetic でなく平面投影の値
チェックリスト
- データの概要を冒頭に 1 文
- 推奨クエリパターン(テスト済み)を記載
- EPSG と変換先を明記
- 制限事項・更新頻度を記載
- ライセンス条件を明記
- 日本語/英語どちらでも可(エージェントは両方理解)