ORIGIN
歴史
1991年にChris Walshawが開発。テキストベースの楽譜交換を目的として生まれました。
ABC記法の公式標準仕様 v2.2 を、日本語で解説。各セクションには鳴る実例付き。
ABC記法は、ASCII文字だけで楽譜を書くための記譜法です。フォーク・伝統音楽のコミュニティで広く使われており、本標準仕様はv2.2(2024年)が最新です。
ORIGIN
1991年にChris Walshawが開発。テキストベースの楽譜交換を目的として生まれました。
PHILOSOPHY
「人間が読みやすく、かつ機械が処理できる」楽譜フォーマット。
ECOSYSTEM
abcjs、EasyABC、ABC2MIDIなど多数のツールが存在。
ABCファイルは、1つ以上の「曲(tune)」で構成されます。各曲はヘッダフィールドと譜面本体で構成されています。
X:フィールドが各曲の先頭にあり、ファイル内の曲を識別します。
X:、T:、M:、L:、Q:、K:などの情報フィールド。K:は必須で末尾。
K:の後に続く音符列。小節線で区切られます。
長いフィールドは次の行に継続できます(空白で始まる行)。
X:1 T:Example Tune C:Composer Name M:4/4 L:1/8 Q:1/4=120 K:G |: G A B c | d e f g | g f e d | c B A G :|
ABC記法には多くの情報フィールドがあります。以下は主要なフィールドです。
ファイル内の曲を識別する番号。先頭に必須。
X:1
曲のタイトル。複数可。2行目以降はサブタイトル。
T:Example Tune T:An Alternative Title
作曲者名。
M:4/4(4/4拍子)、M:3/4(ワルツ)、M:6/8(複合2拍子)。
L:1/8なら音符は標準で8分音符。小節の長さの計算に使用。
Q:1/4=120でBPM120。Q:1/4=80でBPM80。
K:CでC長調、K:AmでAマイナー、K:GmixでGミクソリディア。
MIDI音色の指定(0-based)。24=Acoustic Guitar (nylon)。
K:の後に続く音符列。音高、音長、リズム、装飾などを記述します。
C D E F G A B(大文字=中央)、c d e f g a b(小文字=1オクターブ上)。, で下、' で上。
^ シャープ、_ フラット、= ナチュラル。音名の直前。
数字で倍、/ で半分。C2 は2倍、C/ は半分。
> は前の音を付点、次の音を半分。シャッフルに使用。
z で休符。音符と同じ文法で長さを変えられる。z2 で2拍、z/ で半拍。
|: 前反復、:| 後反復、|1 :|2 で1番/2番。
- でタイ(同音結合)、() でスラー(レガート)。タイは音を継続、スラーは滑らかに繋ぐ。
!trill!、!turn!、!fermata! などの装飾記号。音に表情をつける。
[CEG] で和音。[EG] でパワーコード。
ダブルクォートで囲むとコード名が表示される。
歌詞は w: フィールドで記述し、直前の音符行に対応させます。音符と文字を対応させる記法です。
音符と歌詞の音節を対応。ハイフン - で音節を分割。* で音符をスキップ。_ で延長(melisma)。
ed cd B2 A2 | w: This is the first line
複数行の w: で複数節を記述。番号付きでも可能。
w:1.~First verse words w:2.~Second verse words
* スキップ、- 音節継続、~ 非改行スペース、_ 延長。
ABC記法はテキスト楽譜を五線譜に自動変換するために設計されています。書式と再生の基本を解説します。
$ で強制改行、! で改行禁止。譜面の見栄えを制御。
C D E F $ G A B c
y で小スペース、y2 で大スペース。小節間の余白調整に。
Q: でテンポ指定。%%MIDI program で音色変更。abc2midi 等で再生可能。
V: フィールドで複数の声部を定義し、ポリフォニックな楽譜を書けます。
ヘッダで V:1, V:2 等を定義。clef, name, stem 等の属性を指定。
V:1 clef=treble name="Melody" V:2 clef=bass name="Bass"
[V:1] で行内でボイスを切り替え。小節線は共有。
[V:1] abc | [V:2] cde |
& で一時的な多声部。和音とは異なり、各音に独立したリズムを付けられる。
abc & cde |
ABCファイルのエンコーディングとデータ形式に関する仕様。
UTF-8 が推奨。ASCII互換でも可能。日本語の曲名や歌詞にも対応。
バックスラッシュで特殊文字をエスケープ。\n 改行、\\ バックスラッシュ自身。
T:Title with \n newline
U: フィールドでマクロを定義し、繰り返しパターンを省力化します。
U:T = !trill! のように定義。譜面中の T が !trill! に置換される。
U:T = !trill! K:C T C D E F
マクロ展開時に音程を自動移調できる。複調的な楽曲に便利。
%% で始まるディレクティブで、出力の見栄えを制御します。実装依存ですが広くサポートされています。
MIDI 出力を制御。音色指定、和音音色、ボリューム等。
%%MIDI program 24 %%MIDI chordprog 25
ページサイズ・マージン指定。%%pagewidth、%%topmargin 等。
%%pagewidth 21cm %%leftmargin 2cm
フォント指定や譜表間隔の調整。
%%titlefont Times-Bold 16 %%staffsep 30
ボイスの譜表配置を制御。括弧でグループ化。
%%score (1 2) (3 4)
v2.2 から追加された移調機能。移調楽器の譜面を自動的に変換します。
transpose=2 で2半音上に移調。transpose=-3 で3半音下。
K:C transpose=2 V:1 clef=treble transpose=-3
transpose=Bb のように楽器名で指定可能。B♭楽器(クラリネット等)に対応。
I:transpose 2 でファイル全体を移調。コンサートピッチで記譜し楽器ごとに自動変換。
ABC記法の詳細については、以下のリソースを参照してください。
ORIGINAL
ABC Music Notation Standard v2.2 の原文(英語)。
TUTORIAL
ABC記法をステップバイステップで学ぶ入門ページ。
REFERENCE
要点だけを素早く確認できるリファレンス。
SAMPLES
21件の譜例でABC記法の実践例を確認。